カフェパウゼをあなたと

コーヒー片手に語らいを!わたしと、みんなと、そしてあなた自身の過去・未来と。

あっという間に1年が経って

1年間、何があったっけ・・・

あっという間に1年が経って、この本家を不在にしがちになっていました。ちょっと、リハビリも兼ねて「長めのツイート」のような気分で、特に構成もせずに書き始めてしまおうと思います。

起算点は現職についてから・・・つまり、大学教員になってからですね。そして、この一年間はひたすら博士論文の公刊というプロジェクトを進めながら、「大学教員一年目」のいろいろを乗り越えつつ、そのうえ好き勝手なことばかりやっていたように思います。ちょっと書き出してみましょう。

駆け出し研究者として

ようやく自分の名前で仕事がきちんとできるようになった一年。けっこういろんなことやってました。

博論連載@母校の紀要

なにはともあれ、博士論文を公表しなければなりません。この一年間は二ヶ月ごとに来る原稿の〆切をひいひい言いながら乗り越えてました。特に、学位申請時バージョンの序章と終章がひどいことになっていたのでほぼ全面的に書き換えておりまして・・・いやはや、文章力無いなあと実感。ずっと伴走してくれていた親友に感謝。早く本にして謝辞書かなくては。

学会報告・研究会報告

自分が所属している学会の公募セッション、お誘いいただいてみんなで出た公募パネルなどなど、学会に登壇するという機会に恵まれました。研究会レベルもたくさんやったなあ。というのも、博論を売り出していかねばいけないし、まだ読んでない人にちゃんと説明できるかどうかでリライト方針も変わってくるし。研究費が使えるようになったこともあって、色々な所に出かけました。
なお、学会報告の内容をまとめた論文も査読通ったようなので一安心。

講演・ゲスト講義

これは嬉しかったなあ。自分がどういうポジションで話せるのか、というのを試せる良い機会でした。なお、ゲスト講義の内容はその後別の学会報告(来週!)にしたり、研究の種になりそうな感じです。

そのほか

スゴく嬉しいところから依頼原稿があってひいひい言いながら書きましたけど、これはまだ秘密。

新米大学教員として

やっぱりこれは大きな転機だったなあ。

講義

狭い意味での自分の専門ではないところを2つ担当することになったので、勉強してはレジュメにアウトプット、という筋トレのような半年でしたね。あと、講義でのコメントに、励まされたり教えられたり説教されたりにやりとしたり、という、精神と時の部屋のような感覚を覚えました。

ゼミ

Twitterで構想→募集→面接→新年会→新学期からスタート、というネットとリアルを行き来しながらのゼミ運営です。サイボウズLive使っているので内部SNS状態だし。

一年生ゼミ

これはスタートしてからまだ二ヶ月しか経っていないけど、すでにいろんなことがありまして。この運営は意識的に「仕込み」をネットでしていたものなので、いま実行プロセスが愉しくて仕方ないです。

学内イベント

図書館で「研究の楽しさを語る」というイベントをさせていただきました。これが法学部からの10年ちょいの総括みたいになってて自分でもびっくり。

ネットの世界がリアルと混交

ネットの世界でのペルソナ運用法を、「両方あるけど中の人は同じ」というスタンスに変えました。これ、10年前からやりたくて仕方なかった方法なんで、この運用が出来るようになったのは嬉しかったなあ、正直。

ぱうぜセンセのコメントボックス

アシタノレシピでの連載。これ、自分が励まされた媒体であるアシタノメンバーになれたということも嬉しかったけど、自分しか書けないコンテンツを週刊で書くという機会でもあり、また兼ねてから主張していた「ブログ記事は説明用データベース」という考えをまさに体現している連載でもあって・・・。正直、これが出来るようになったことが、この1年での一番の収穫であった。

リアルコメントボックスでも

本物の学生からもらったコメントは、本物の悩みが付いているモノで、だいたい自分も通った道だし、たぶん翌年の誰かも通る道なんですよね。このフローを一回限りのモノにしたくなかった、ということですね。だから、かなりの回数「続きはwebに書いておいてあるから、とりあえずやってみて」と言いましたね。

Twitterもブログも二つに

両方あってつながっている、ということで、公的なペルソナと私的なペルソナを併存させてコンテンツも振り分けてみました。まあ、この記事をここに書いている以上、つながっているんですけれども。よく相互RTするしね。

イベントでも

さすがに学会では研究者モードオンリーですが、研究会レベルだと「趣味でやってるブログ仲間とネット選挙の議論しました」とか発言するし・・・あと、アシタノワークショップでやる内容をゼミでやる内容と揃えて両方でやるとか。

好きにやらせてもらえているありがたさ

こうやって書いていると、ほんとこの1年好き勝手にやらせてもらっていたなあと実感します。自分でどういう仕事&遊びをしていきたいのか(この二つ、時々混ざっていますからね)ということがわかっていて、ここ5年間くらい我慢していたモノを、ちょっとずつ出していくつもりが・・・結果、いろいろやらせてもらえて非常に有り難い限り。
もっとも、「〆切を一週間以内に抱えているときは本家ブログは更新しない」というルールで運用しており、結果〆切を概ね守れているのは結構なことなのです・・・が、それで好きに書けないという状況でしたので、〆切を守りつつこちらも更新できるようなリズムを作りたいものです。

思いつくままに書いてみたら本当にまとまりがないことになりました(かつての「日記」もそうだった)。しかし、リハビリとしてはいいかな。色々書きたいことたまっているし、少し調子を戻そう。ということでまた更新を少しずつしていきますのでよろしくお願いします。

教える側にたって気がついたこと~「ぱうぜセンセのコメントボックス」の舞台裏

もうすぐ最初の学期が終わります

しばらく更新が途絶えていましたが、教壇に立ってから早5ヶ月、もうすぐ最初の学期が終わります。
講義準備に追われる日々で、その合間を縫って論文を書き、そして「アシタノレシピ」での連載を更新していたので、どうにも本丸の「カフェパウゼをあなたと」を放置気味になっていました。
ぱうぜセンセのコメントボックス
早いものでもう第9回までいきました


「あなたと」の読者の皆様には申し訳ないことですが、ここらでひとつ、「ぱうぜセンセのコメントボックス」(以下、「ぱうコメ」と略します)での狙いと、第9回までに書いたことの振り返りをしてみたいと思います。

教えることは学ぶこと

「教えることは学ぶこと」ということわざを耳にしたことがある方も多いと思います。これは、実感してみるとまさにその通りで、教える立場になると実に様々な気づきがあるのです。
問題は、この「教える側にたったときに気がついたこと」をどのように「教える」か。教える側が、教えるときに実は教わっているのだということと、学んだ内容を嫌みのないように放流するにはどうしたらいいか。それを考えた結果が、「ぱうコメ」の形式でした。

対話文における「ぱうぜセンセ」と学生たちの立ち位置

「ぱうコメ」における編集方針は「差し支えがない範囲では実話ベース」というものです。ですから、「ぱうぜセンセ」が言っていること、考えていることはほとんどそのまま実の私であります。学生側のコメントや考えは、学生に確認したこともあれば、想定問答のこともありますが、あまり現実とは乖離しないようにしています。もちろん、特定個人に結びつかないよう、かなりの人数をまぜまぜしているんですが。
なお、「ぱうぜ先生」と書かれることがあるんですが、自分で自分のことを「先生」と書くのもなんだか気恥ずかしいし傲慢なので、「センセ」とカタカナ表記させていただいております。

学生への告知

また、学生には、「貴方からいただいた質問のうち、場合によってはブログ等のネタとして使うことがあるかも知れない。それは、将来の学生や、ブログを見ている他の人に役に立つと思うような使い方をします。もし、相談する内容で二次利用されたくない場合は、その旨をきちんと言ってください」と伝えてあります。また、実際に使いたい質問があったときには、そのときに学生に許可を求めています。
こうすることで、「こんな質問、くだらないような気がするけど…聞いて良いのかな」と迷っている学生に、「もしかしたら同じように悩んでいる人は他にも、またこの先にもいるかもしれない」と背中を押してあげるようにしています。
「貴方の質問に答えるということは、貴方と同じように悩む人にも答えることになる」と。私としても、一旦考えをまとめておけば、同じような質問がきたときに、取り急ぎ答えて、「詳しい話はこのブログで○○と検索すれば出てきます」と誘導できるのです。

教育における「続きはWebで!」の効果?

Webで調べても、出てくる情報と出てこない情報がある。しかし、この種類の悩みだったら、誰かが書いているかも知れない、という勘所というものがあります。私は、その幅を少しでも広げておきたいと考えています。自己の体験を一旦客観視して、Webに放流する。その情報に触れた人が、又違う情報を放流する。この作業に慣れた人は、自分の「ネタ」を昇華して消化する術を身につけてくれるだろう。
…こんなことを、実際に目の前にいる人に伝えるには、「やってみせる」しかないと考えているのです。「悪貨は良貨を駆逐する」かもしれないけれど、良貨を生み出しうる人を広げることはできる、と信じています。教育者という属性は影響力がありすぎるので、押しつけにならないように、しかし新鮮な驚きとして、見せたいと考えているところです。

「あなたと」の位置づけ

さて、それではこのブログ「カフェパウゼをあなたと」(以下、「あなたと」とします)との関係はどう考えているのか。それは、「あなたと」は「思い立ったが吉日、の思考ノート」です。そして、授業や「ぱうコメ」でも、よく「元ネタ参照元」になっています。

授業における「ブレイクタイム」

今学期担当した授業のひとつは、2時限連続講義でした。午前8時50分から、90分×2で12時まで…これは、聞いている学生もしゃべっている私も疲れます。そこで、2時限目の30分経過後~45分あたりに、「ブレイクタイム」という時間をとっていました。その間、学生は寝ていてもいいし、手を止めても良い、というわけです。
そこでは、手帳やメモ、ノート、そしてGTDなど、自分が大学卒業後から博論執筆までに試行錯誤した内容を、毎回5分だけしゃべるということにしていました。
もちろん、5分では語りきれないし、授業準備でへとへとのときに追加の資料を作るわけにもいかない。そこで、基本的には「あなたと」で記事化したものから選定し、「続きはWebで!」としたわけです。
これは概ね好評でしたので、90分授業になる来年度以降も授業内容を遮らない範囲で取り入れようと考えているところです。これも、「あなたと」の積み重ねが無ければできないことでした。
今後、「ぱうコメ」はより学生目線で作られたコンテンツとして、有力なコンテンツとなりそうです。

教えることができる学生はほんの一部だけど

自分の授業に興味を持って選んでくれる学生はほんの一握りですが、コンテンツとして公開すれば、「あの先生、こんなの書いてるよ」という形で他の授業を受けている学生に回してくれるかもしれない。また、1年生のときには接することができなくても、2年時に接する学生にも、基礎的なレポートの書き方等を伝えられるかも知れない。
もちろん、質問があればWebでもリアルでも、ヨリ適切な方で質問してくれればいい。
こうやって、まぜこぜにすることで生まれる相乗効果を期待しています。

「どうせやるなら二毛作」時間とレイヤーの複数掛けを目指すために - カフェパウゼをあなたと
座右の銘を遂行していきます

今日もあなたと二毛作。未来の学生にも贈りものを、という気持ちで。
リアルカフェパウゼをしたい方、ぜひご連絡ください。

激動の2013年をブログ記事で振り返ろう

あけましておめでとうございます。2014年最初の記事ですが、まずは2013年の振り返り企画を行います。
http://instagram.com/p/Te3DKRM2Xx/

2013年は激動の年でした

まず最初に言及すべきは、2013年は私にとって20代最後の年であり、大きな転機でもあったことです。

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ブログメディア「アシタノレシピ」で連載開始します!

アシタをタノしく!

アシタノレシピ、というブログメディアをご存知でしょうか?
アシタノレシピ -明日を楽しくするレシピ集-

アシタノレシピは「明日を楽しく!」をモットーに、日々の仕事やプライベートを楽しくするためのちょっとした工夫やコツ、考え方を紹介するブログメディアです。

以前から愛読していて、しかもこのブログ再開のきっかけになったイベントの母体でもあります。
でも、実は、しばらく活動が停滞していたので、リスタートすることになったのです。

中心的メンバーであるBeck(べっく:北真也)さんのブログに、その決意が表れています。
【雑記】私は無力であるが故に仲間の力を必要とするのです | Hacks for Creative Life!
この記念すべき2周年のリスタートに、新メンバーとして加わることになりました!

新連載タイトル発表します

新連載のタイトルは、
「ぱうぜセンセのコメントボックス」
です。
え、どんな内容になるか、って?
それはフタをあけてみてのお楽しみ、です。

「え、センセって何だよ、先生じゃないのかよ」
というツッコミの声が聞こえてきますが、たしかにいま「先生」と呼ばれる職業についたものの、自分で連載タイトルとして採用するのはなんだかエラそうですし、皆さんには親しみと多少のいじり心をこめて「ぱうぜセンセ!」と呼んで欲しいものであります。
…一応プライベートモードです、一応。なので、「先生」呼びはご勘弁ください。

学生にもつたえてあります

もちろん元ネタには「先生」として見聞したことを使うんですが、ちゃんと学生の皆さんには「プライベートのブログで、個人情報上問題ない範囲でネタにすることがあるから、ダメな場合はオフレコだってちゃんと言ってくださいね」と伝えてあります!(キリッ
ということですので、安心してください。
乞うご期待、であります。
12月から、毎週土曜日の登板を予定しています。

【告知】12月22日(日)第1回 NUboardユーザーミーティングで登壇します #NUboard #bungu

好きだと言い続けてたらお声がかかりました

ご無沙汰しております、ぱうぜです。今回は、イベントのお知らせです。
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12月22日(日)の午後、第1回 NUboardユーザーミーティングが開かれます。実は、このブログではNUboardの一周年記念展示会にあわせて「非公式ファンミーティング」を押しかけで企画してしまうほど私はNUboardを愛して止まないわけですが、ついに公式のユーザーミーティングが開かれることになったわけです。

CANSAY NUboard A4判

CANSAY NUboard A4判

CANSAY NUboard 新書判

CANSAY NUboard 新書判

CANSAY NUboardA3判

CANSAY NUboardA3判

今回、これにあわせて過去記事に「NUboard」タグをつけました。
本ブログのNUboard関連エントリは以下のリンク先からどうぞ。
"NUboard" - 記事一覧 - カフェパウゼをあなたと
本記事のイラスト(ぱうぜの体型が実物よりも4割ほどスリムなこと以外はそっくりなイラストですね!)は、「純コミックス」主宰の岡野純さんに書いていただきました。そう、W講師となっております。

どんなことをするの?

イベントの詳しい内容とお申し込みはこちらのリンク先からどうぞ。
12月22日 第1回 NUboardユーザーミーティング(東京都)
ここにもあるとおり、私は
「対話に使おうNUboard ~発想とコミュニケーション~」
というタイトルでお話しさせていただきます。
そう、このブログのテーマそのものですね。
発想とコミュニケーション、そして対話。これは私の人生におけるテーマでもあります。
現在、新米大学教員として研究室に学生を呼んでは質問に答えたり珈琲を飲んだりしているわけですが、そのときにNUboardが大活躍なのです。
もともと博士論文の執筆のために、発想のために使っていたツールですが、コミュニケーションツールとしてもとても優れています。いや、むしろ、
「発想とコミュニケーション」を同時進行で行うためにとても便利なツール
なのです。
当日は、実際の使用例をお見せしながら、どんなことをしているのかをお知らせしようと思います。

junさんの講演もとっても楽しみ

なお、junさんは
「幼稚園児×NUboardに学ぶタスク管理のはじめかた」
というタイトルでお話されるそうです。
詳しくはこちら。
【告知】12月22日(日)「第1回 NUboardユーザーミーティング」でタスク管理のはじめかたについて講演します! « 純コミックス
リンク先にもあるとおり、

上記著作をベースにお話してくださるそうです。
いやあ、本当に幼稚園児が自分で支度ができるようになるまでを生き生きと描いたマンガです。タスク管理につまづいた人にも、「タスク管理なにそれおいしいの?」状態の人にもお勧めです。学生にも勧めています。

なんと無料イベントです

また、今回はNUboardの発売元である欧文印刷さん主催イベントです。
NUboard(ヌーボード)
なんと無料です!(懇親会は実費です)
30名限定イベントとなっています。2013年11月11日21:23現在で、すでに半分席が埋まっています。
迷っている方、是非今のうちにお申し込みください!

申込先はこちら。
12月22日 第1回 NUboardユーザーミーティング(東京都)

ライトニングトーク大会もあるかも


更に、現在ライトニングトークをしてくださる方も募集しているとのこと。
5分程度のプレゼンで、あなたの使い方を教えてくださいませんか?
NUboardのヘビーユーザーにも、これから使ってみようかなという方にもお楽しみいただける内容になっております。
迷っている人、ぜひお申し込みください!

続きは会場でお話ししましょう。ぜひ、また有意義なカフェパウゼをできることを心待ちにしております!

「どうせやるなら二毛作」時間とレイヤーの複数掛けを目指すために

座右の銘:「どうせやるなら二毛作」


日曜日の朝というのは自由な発想をしていることが多くて、自分でも思いも寄らないことをツイートしたりします。
「どうせやるなら二毛作」。
これ、自分の人生哲学になっているような気がするので、今ここで考えていることを形に残しておくことにしましょう。

リソースが大量かつ濃密な人たち

世の中には、とんでもない人達がいます。人に一つの基準だけで勝ち負けのランクをつけるなんておこがましいし、ばかげているのはかつて書いた記事(スカウターからスタンドの世界へ - カフェパウゼをあなたと)でも触れたとおり。多様な価値観と可能性の世界で、ランク付けなんて意味をなさない。
しかし、どうにも感じてしまうことがあります・・・それは、リソース量のちがいです。
世の中には、普通の人が持ち得ないような熱量を秘めている人がいます。「法学研究者らしく定義付けしろよ」といわれると困ってしまうのですが、ほんともう、なんか「できることの量」が違うんですよ。そして、量の多さが質の違いを凌駕している。
・・・そういう人達を、まあ、Sランクとでもしましょう。マンガやライトノベルの世界でよくある「S級ハンター」とかそういうイメージの、Sランク。
その中には、有り余るリソースを一点投入するとかえって軋轢があるから、とでもいうのでしょうか、全然別職種の仕事を同時にこなしてみたり、完全匿名の筆名を何個も抱えて活躍している人もいます。

自分に何が出来るだろう

ここ数年でようやく「研究者」を名乗れるようになったことと関係しているのでしょうか、実に様々な方々とお仕事をする機会にめぐまれました。また、友人関係やSNS関連でも様々な方々とコラボレーションする機会にめぐりあいました。そうしたときにやはり感じてしまうのです、「ああ、自分はSランクの人々には普通のやり方ではかなわない」、と。
勝ち負けにこだわらない私ですが、貢献度として自分がどこまでやっているのか、果たせる役割を負えていないのではないかということは気にしています。
特に、(これも運の要因が強いですが)本来は貸与である奨学金を事後的に給付にしていただく返済免除という仕組みを適用してもらったので、単に国立大学で学んだという以上に、直接的に税金が投入されているのです、私の人生には。
なにかしなければいけない、しかしそのままではSランクの人々が行う貢献度にはかなわない。

多毛作のすすめ

時間管理のステップとして

そんな折、素敵な発想に出会いました。


この電子書籍の第八楽節 STEP4:自分時間を夢に昇華する3つのアクション
電子書籍でのサイテーションを示すやり方は難しいのですが、ここでは目次で場所を示します)で、著者のJMatsuzaki氏(友人ですので、以下、親しみも込めて、愛称のJMと書きますね)は、自分の時間を増やしていくための方策について、

具体的にどのような改善策を打ち出すべきかですが、大きく以下の3つに分類できます。
1.分類を入れ替える
2.実行順序を入れ替える
3.複数の分野を同時実行する

と述べた上で、最後の3についてこのように述べています。

3つ目の「複数の分野を同時実行する」は最も難しい取り組みですが、実現できれば最も高い効果を発揮できるものです。ここでいう分野とは、「家族」や「健康」や「社員」など、1st Burnerにて夢を分類した分野のことです。勘違いしやすいのですが、1つの行動が1つの分野に貢献するとは限りません。1つの行いで複数の分野を前進させることができます。

そして、一人でするランニングを、家族でのバドミントンに切り替えることで、「健康」だけの時間を「健康」・「家族」という複数分野に貢献する時間へと変えることを例としてあげています。

レイヤーの重ね合わせ

また、佐々木俊尚氏の「レイヤー化する世界」における、レイヤーの重ね合わせも、私に強いインスピレーションを与えます。


これについては倉下忠憲さんが既に図解で解説している記事がありますから、コレに加えて語りたいことは別記事にゆずります。
R-style » 「レイヤー化する個人」がもたらすもの

自分が持つ役割は複数あり、同時に満たす"差し手"がある

これらから導き出された知見を、私なりにまとめると、
「自分が持つ役割は複数あり、複数同時に満たす"差し手"がある」
ということになります。
イメージしているのは、ルーレットでいう「複数賭け」です。一枚のチップで、特定の数字だけではなく、複数の数字に賭ける方法です。ルーレットの世界ではそういう賭け方は配当が少なく設定されています。リターンが返ってくる可能性が高いから、ですね。

しかし、「時間の複数掛け」においては、JMが言うように、複数の分野を同時に満たすことは難しい。さらにいえば、佐々木俊尚氏の著作とそれに対する倉下忠憲氏の書評が示すように、複数のレイヤーを見つけることすら難しいかも知れません。
しかし、一度見つけてしまえば、一つのチップで2つ、3つのリターンが返ってくる・・・そんな気がしています。
時間は使い続けることしか出来ないし、限られた量しか配分されない。
そうだからこそ、戻ってくる可能性がある道筋を複数用意したい。

「畑を重ねる」ために

重ねる事が難しいなら、自分で「重なる畑」を作ってしまえばいいのではないか。今はそう捉え直しています。自分の本職である研究と教育。そして、自分が余暇としてやりたいと思っているブログやSNS。こういう複数の部分を、どうにか重ね合わせながら生きていくことができないか。それを模索しているところです。
そして、「重なる畑がないなら作ってしまおう」ということを、考えています。

連作障害をどう回避するのか

多毛作の例えは、もうひとつ、発想を広げるステップになります。それは、「連作障害」の存在です。多毛作で作物を作るときのポイントは、作物Aで使ってしまった地力を、作物BやCの栽培時に回復させること、でした。これは、むりやり「畑」を重ねたときに出てくるであろう様々な障害の可能性を想起させます。単純にひとつひとつやっていくことと、どう違うのか。ちゃんと回収出来る投資になっているのか。ブログやSNSをやるときは、それを考えながらやっているところです。

どうせやるなら二毛作。こうやって書いてみるとまだまだ煮詰まった考え方ではありませんが、引き続き「座右の銘」に仮置きして頑張っていこうかと思います。

朝晩が冷えるようになって、温かいお茶が嬉しい季節になりました。ゆっくりとカフェパウゼを。

「文章をはき出すとき」と「推敲・編集するとき」を分けてみよう

同じことを4回聞かれたから書きますよ

もうすぐ10月・・・12月提出の修士論文や博士論文を抱えている人からすると、9月中にどこまで出来るかが一つのポイントになります。立て続けに3人くらいの方から、「どうしても進まない日が何日も続くんです、どうすればいいでしょう」というご相談を受けました。
とりあえず、最悪の事態を避けるために、「発声練習」さんの以下のエントリ及びそこの関連リンクを見ることを薦めました。
卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごう - 発声練習
そして、どういう風に進めているのか、どういう段階なのかを聞いた上で、自分が博士論文を執筆するときに一番気をつけていたことを話したので、ここでも紹介してみたいと思います。

一番大事な気づき:「思いつく人」と「直す人」は違う人

長文になることがわかりきっている文章を書くときに、いつも見落としてしまうことがあります。それは、あまりに長い文章だと脳内メモリだけでは整序立った文章にすることは難しい、ということです。
ひらめいて、思いついて、話し始めるときのわくわくした人と、しっかりして、落ち着いて、直し始めるときの少し醒めている人を同時に動かすことは難しいのです。
これが、1000字、あるいはせいぜい5000字くらいの長さのブログ1エントリー分であれば、書いたり戻ったりしながらでもなんとか書けます。文章を紡ぎながら編集も一緒にやってしまうというスタイルですね。
しかし、5000字の原稿を10枚、20枚と組み合わせていかなければ書けないような長さになると、どうしても編集担当要員が必要になります。相互の文章の並び順とか、適切な脚註の配置などは、ひらめいているときのわくわく感を持ち続けているとミスしやすいんですよ。

意図的に作業を分けよう

そうであるならば、意図的に作業をわける事が必要になります。自分が博論を書いたときに、指導教員と相談しながらやったやり方は以下の通りです。

第一フェイズ:ひらめきを生かしながら、「もやもや」をとにかく紙に落とし込む

まずは、今考えていることをとにかく紙に書き出します。
あなたが論文を書いている途中の院生であれば、「この話題とこの資料は関連しているな」というような塊がいくつもあるはずです。あるいは、「大目次は出来ていて、この話題は第1章のどこかに入る」とか。
そういう状態でいいですから、とにかく書いてみましょう。
文章の並び順や脚註の細かいルールはあまり気にしないで、わかるように書いてみる。
前にちょっとやり方を紹介した「手書き→マインドマップテキストエディタ」というやり方もあります。
文章をモリモリ書くための4つのステップ - カフェパウゼをあなたと
これは編集のしやすさをも念頭に置いてますが、最初は、とにかく手書き(できるだけなめらかに書けるボールペンや万年筆をお勧め)で書き殴ったり、テキストエディタ(文字を打つ以外の機能があまりないようなもの)を使ってやってみましょう。
頭の中でもやもやしているだけでは、誰にも見せることができません。どんなに親切な指導教員でも、見ることができない文章を添削することはできないのですから。

第二フェイズ:意味付けを捉えなおし、並び替え、文章を整えて編集しよう

うわーっと第一フェイズを行うと、とにかく材料だけはそろいます。あとは、コレを料理していけばいいのです。
手書きであれば、ペンを色ペンに持ち変える。テキストエディタであれば、アウトラインが使えるソフトを起動します。そして、並び替えてみたり、重なるところをつないでみたり、脚註を整えたり・・・とにかく、手を入れていきます。
追加で新しく書きたくなったら?脇にメモ帳を置いておいて、アイデアベースでいいから書き付けておきましょう。編集脳になっているときのアイデアは、非常にメタな視点になっていることが多く、その文章の序文や結末に大きく影響することが多いです。

どこで人に見せるのか?

第一フェイズと第二フェイズを続けていくと、どうにかこうにか文章ができていきます。しかし、第二フェイズにまで達したものだけを見せようとすると、どこかでモチベーションが下がったりします。そこで、かなり切羽詰まっているときは、「とにかく第一フェイズでいいから持ってきて」と言ってくれる人を探して、極めて短期間に無理矢理にでも成果報告をする、というのをおすすめしています。
なぜって?・・・人に話すとものすごく進むことがあるからです。
書こうとして巧くいかないときは、改めて別角度での表現をしてみるとすっと見えてくることがあります。誰かに話そうとする、というのは、その点で非常に優れた「前への進み方」です。

研究ハックフォーラム・若手法学研究者フォーラムはそういう場を提供してます

このブログ記事の↓のほうにリンクが張ってありますとおり、私はふたつのフェイスブックグループを運営しています。そこで同好の士を探して、お互いの文章を見せ合うというのも一つの手です。ちょうど、科研費等の「作文」シーズンでもありますし、相互扶助をするにはピッタリの時期かも知れません。

このやり方につきあってくださった師匠にはとても感謝しています。師匠が、「とにかく1週間に5000字書いて持ってきなさい」と言ってくれなかったら、到底書き切れませんでした。「とにかく書いて書いて見せる」というやり方が功を奏することもあります。うじうじ考えて前に進めない日ももちろんあります。ノってきた日にモリモリ書いて反撃しましょう。
やっと涼しくなってきました。夏に悶々とした分を、少しづつ取り返していきましょう。
きっと書けますから。疲れたときには遠慮無くカフェパウゼを。