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カフェパウゼをあなたと

コーヒー片手に語らいを!わたしと、みんなと、そしてあなた自身の過去・未来と。

名言を超えていけ!「世界は言葉でできている」番組評+書評

私が好きなブログ、コボリジュンコさんが運営する「[名言コツコツ]自分磨きとライフハックのブログ」でも、取り上げている「名言」。
古今東西の偉人が残した言葉。
私がこのブログを愛する理由は、名言それ自体ではなく、その背景にも目が向けられていること。

同じ意味で、とっても好きなテレビ番組があるんです。昨年は深夜放送だったため一部の地域でしか見ることが出来ませんでしたが、満を持して、ゴールデンタイムに進出しました。
今宵は、フジテレビ水曜19:57〜の、「世界は言葉でできている - フジテレビ」をご紹介します。

名言を「超える」がコンセプト

この番組、回答者である「コトバスター」が果たす役割が変わっています。回答といっても、「正解」を探すのではありません。番組では、ある偉人の人生と、名言が・・・一部が空欄になった状態で紹介されます。番組ウェブサイトにある例は以下の通り。

ゲーテの「あなたが私を愛してから、私は――――」。

これに対して、コトバスターたちは「これが私の言葉です。」といいながら、自らの言葉を発表。それを観客+ゲストの100人が「ぐっときた」らポイントを入れる。
・・・そんな具合でコトバスター達の回答が終わったあと、満を持して偉人の名言が出てくるのです。
それも、観客たちに評価されます。見事コトバスターの点数が上回ると「名言超え」達成になります。

知的な「本歌取り」ゲーム

昨年の深夜番組時代からとにかく面白かった。その時期に生まれた名言が、ゴールデン化にあわせて書籍化されました。Book Editionと銘打たれています。

世界は言葉でできている Book Edition

世界は言葉でできている Book Edition


そのはしがきに、言語学者の金田一秀穂先生が、こんな言葉を寄せています。

こういう番組に出てくれと言われて、それは本当にテレビ放送されるのか、疑った。教養放送局でもあるまいに、夜中とはいえ、そんな小難しい放送を喜ぶ人が多くいるとは思えない。

その予想は裏切られることになります。

この番組でしているのは、本歌取りである。昔から日本の文芸で親しまれてきたゲームである。あるテーマに基づいて、昔の優れた作品をひねって、それを超えたり、全く違った世界を作り出して楽しむ。より深い知恵を示せるか、より美しく語れるか、言葉でどこまで遊べるかという、極めて知的で洗練された芸である。

ほんと、こんなにことばとそれを語る人がキラキラしている番組を、私は他に知りません。

書籍版と番組のちがい

書籍版:名言と落ち着いて向き合うための仕掛け

書籍版でも、名言の主の人生(半生)、コトバスターたちの名言、そしてオリジナルの名言の順で編集されています。
そのテーマも、スーパースター、天才、オンナ、青春、作家、恋愛、そして天国からの名言と、番組当時を踏襲。
登場する偉人たちも、イチローにはじまり、マザーテレサ手塚治虫アインシュタインにレディー・ガガ、スティーブ・ジョブスにジョー・ストラマ−、そして岡本太郎などなど。
お笑い芸人や俳優、ミュージシャンや予備校講師(東進ハイスクールCMの「いつやるか?今でしょ!」の林修先生です)など、コトバスターたちのコメントもひとことだけついています。
これは、秋の夜長に、生み出された名言たちと対話するのに持ってこいの情報量です。

逆に、番組から書籍化するにあたり消え去った要素こそが、この番組が知的なバラエティー番組として成立している重要な要素なのです。

番組:名言が生み出され、評価される瞬間に立ち会える

番組にあって書籍版にない要素。それが、「点数が押されていく時間」です。
番組では、コトバスターたちの名言は森本レオさんによりナレーションされます。良い声です。
・・・そのあとがポイント。
どんどん点数が積み上がっていくのです。その間、コトバスターと司会の佐野瑞樹アナウンサーとのかけあいが展開されます。
この佐野アナこそ、この番組をバラエティとして成立させている張本人。
お笑い番組好きならわかると思うんですが、こういう知的な番組はほおっておくと「えらいねー」となってしまいます。
それは、コトバスター達が芸人だけでもそうなるとおもいます。実際は、作家や音楽家や舞台俳優など、テレビ以外の言葉のプロたちもいらっしゃるのでなおさらです。それを、佐野アナがひろげ、ときにいじり、笑いと言葉を引き出していく。
・・・これ、一回見て欲しいんですよ。ほんとに。この掛け合いで、人柄がわかり、回答が真摯にコトバスターの魂から生み出された言葉であることがわかるのです。笑いと共にね。

テレビも捨てたもんじゃない

とにかく一回見て欲しい

今回、この記事を書くに当たって、何人かの方に言われたんです、「もうテレビは見ないことにしているから。」
それ、例外作ってくださいよ。この番組は、単に名言が「書かれている」状態でみるんじゃなくて、常に生み出されているんだってこと、自分たちで作り出していくんだってことを再確認させてくれる良質のコンテンツですよ。

今週の放送はたったさっき終了しましたが、ゴールデンになってもやはり基本的な要素はそのままでした。

書籍版のあとがきに

書籍版のあとがきには、この番組が非常に難産であったことが書かれています。こちらもぜひ。

みんなでやってみたい

ちなみに、この番組は「世界はあなたでもできている」という視聴者投稿コーナーがあります。また、Twitterとも相性がよさそうです。実際、非公式ですがBot(自動でつぶやくアカウント)@もあります。そこで、好きな言葉をひとつ。

・・・みんなでやってみても面白いですよね。だれか、動画コンテンツとかオフ会でやりませんか。


クラシックな名言だって、生まれ落ちた瞬間は新しい言葉だったはず。
言葉の生まれ落ちる瞬間を愛でようではありませんか。
「あなたの」言葉とともに、今宵もよいカフェパウゼを。