ディスカッションと即興ディベートを環境法の講義でやってみた(メモ)
環境法の講義がうまくいった
環境法の講義ではちょっと実験をしている。昨年は、「3本線ノートを教えてディスカッションをする」という話。今年はさらに一歩進めて、到達目標を「即興ディベートでフローシートを書く」というところにおいてみた。それが思いのほかうまくいったのでとても嬉しい。
詳しくはakmykt.netか、他のサイト用の連載か、別途丁寧に書くけれども、この記事では「どういうコンセプトでやったのか」、そして「どういうツールを使ったのか」についての備忘録を書いておこうと思う。
どうやったらディベート初心者にも楽しんでもらえるか?
最大のポイントは、「ディベート嫌いを作らない」ということ。このことについては、既にアシタノレシピで書いたから参照してください。
発想のために「ディベートモード」のスイッチを入れてみよう
ジャッジに向けてしゃべるんだという意識がないとケンカになるよね
この記事でも書いたとおり、「ディベートとは相手を言い負かすゲームではなく、ジャッジを説得するプレゼンである」というような意識に持っていくことが重要。また、何のためにディベートをするのかというところも分かってもらう必要がある。そこで、いくつかの工夫をした。
「ディベート」の前に「ひとり会議」と「ディスカッション」を置く
ディベートに入る前に、まずはお題について一人で感想を書いてもらう。これは毎回の講義終了後にコメントを書いてもらって提出させているので、これまでの講義で10回以上やっていること。すらすらできるはず。
そして、そのあとは班(5,6人で一組にした)のなかで自由にディスカッションをしてもらう。提出用シートには班員の名前を書く欄をつけておいたので、名前を確認してからディスカッションをすることになる。また、「他の班員が良いことを言ってたらそれもメモしてね」という指示も。これで、かなり場が暖まった。
そこからおもむろに「肯定」「否定」「ジャッジ」をグッチョッパで決める。最初からチーム分けをしないのがコツだと思う。
講義の進行上気をつけたこと
ディベートを即興で、しかも経験者がほとんどいない状況でやったので、進行に気を遣った。
あらかじめディベートと法学教育の関連をコメントしておく
これは講義の端々で、ディベートと法学がつながっていることを示しておいた。フローシートとブロックダイアグラムが似ているよとか。特に否認と抗弁の区別はしっかりと。ここをやっておくと、否定側立論と反駁の区別がしやすくなるはず・・・である。たぶん。
ディベートとは何か、については配付資料を準備
今回は松本茂・河野哲也『大学生のための「読む・書く・プレゼン・ディベート」の方法』(玉川大学出版部、2007年)を適宜コピーしたものを配布したほか、アシタノレシピでの連載のもとになっているスライドをアップしておいた。本記事冒頭の写真はこのスライドのトップ画面。アシタノワークショップ→基礎ゼミ→3年生ゼミ→環境法と使い回している。
フローシートの書き方はあらかじめ教えておくけども、ディベート回のなかでも要点だけは繰り返した。
ディベートの手順をおさらい!フローシートも書いてみよう
フローシートは面白いのでぜひやってみてほしい
ディベートの型で議論の立て方とツッコミどころを探してみよう
ツッコミどころ一覧は配布レジュメにも要点を書いておいた
エビデンスはこちらで用意
「ほんとうは準備に1ヶ月くらい掛かるよ」というコメントをしつつ、今回はエビデンスになりそうな新聞記事を用意しておいた。両論併記ではあるものの全体の論調としては論題に否定的な記事だったけど、勝敗には影響が少なかった模様(7つの班で概ね半々だった)。
プロジェクターにタイマーを映写する
40人、7班分の進行管理をひとりでやる必要があったので、プロジェクターにタイマーを大写しにした。
フリーソフト「KTIMER」で、連続タイマー機能が付いているものを選んで、あらかじめ進行予定の分数をセットしておいた。これが大正解。
大きなデジタルタイマー「KTIMER」の詳細情報 : Vector ソフトを探す!
連続タイマーを使うと、設定した複数のタイマーを連続で計測したり、手動で次々に計測したりできます。 ...
これがとても便利→「連続タイマーを使うと、設定した複数のタイマーを連続で計測したり、手動で次々に計測したりできます。」
評価方法はあくまでシート記入
感想シートとフローシートの双方を提出させて、「すべての項目に記入があれば合格」とした。良いことを書いていたら追加点。何を書いても良いという安心を与えつつ、ちゃんと時系列にそってメモをするという習慣を付けて欲しいという狙い。
詳しくは別途書きますね
取り急ぎのメモだけれども、これだけでもけっこうおもしろいんじゃないかな、と思って書いてみた。
ディベートからレポートに生かしてみよう
講義ではレポートまでは時間切れでいかなかったので、感想を書いてもらった
そもそもディベートって講義で習ったんじゃなくてサークルで(しかも英語ディベート)やったんだけど、首つっこんでおいてよかったと思っている。