カフェパウゼをあなたと

コーヒー片手に語らいを!わたしと、みんなと、そしてあなた自身の過去・未来と。

誰にも見通せないイバラの道を進むにあたって

自分は結局どう進むべきなのか。
これが択一試験後に突きつけられた問題でした。

実は現行受かったら修習行ってその間に大学院に戻るか実務に行くか考えようと思っていたので、そもそもの前提が崩れたわけです。
もっとも「択一落ちがそんな偉そうなこと言うな」とかいう批判はもっともで、そのとおりだと思うんですが、状況としてはまさにそんな感じでした。
そして、迷った挙句に去年ゼミと講義でお世話になった行政法の先生2人にほぼ同じ内容の質問を送って話をしてきました。また、同様の話題はフランスとの私信でもかなり繰り返していました。
つまり、「法科大学院に進んだ場合、研究者にはなれるのか」という問題です。

(現在閉鎖されているブログ記事紹介のため中略)

まず最初にいっておきますが、Aさんは「Kaffeepauseは研究者まっしぐら」だと思ってらっしゃるようですが、実はそうでもありません。*1択一前の考え方も、現在の考え方もその点は同じで、今のところ、実務に行く気と研究に行く気は同じくらいなんです。そのような考え方の学生からみると、法科大学院ができたことは必ずしもマイナスではありません。


従来「実務か研究か」で迷った場合、比較的早い段階でどちらかを選ぶか、現行司法試験に現役合格する必要がありました。*2この意味で、研究をしようと志すこと自体が結構超人的な人じゃないとできないんじゃないか、と去年まで思っていました。一年前の自分に「研究、どう?」と聞いてみても、「ありえない」と返ってくるに決まっています。
しかし、去年の夏の間に行政法にはまり、質問に行った講義担当の先生にはドイツ帰り直後、試験一週間前なのに3時間も議論に付き合ってもらうという破格の対応をして頂き*3、それを聞いたゼミ教授に「じゃ研究者になって〜〜君の弟子になればいいじゃん」という冗談を言われた頃から*4研究もありかなと思うようになってきたわけですが、お会いする先生や助手さんに話を聞くにつれ、現行司法試験も無理そうな自分には無理だろう、と考えていたわけです。


ぐだぐだと思い出話が過ぎました。ローの問題点として指摘されている部分についても書いてみたいと思います。
Aさんもご指摘のとおり、ローでは外国語を使って学ぶ機会があまりありません。実際ゼミも開講はされているのですが、ロースクール生Bさんのご紹介にもあるとおり、選択の幅が少なく、また実際2年次はかなり忙しいらしいので、外国語ゼミを取るのは事実上無理。となると3年次は暇なのかということですが、いま研究論文を書いている方から言わせると全然そんなことは無く、なかなか論文が進まない、とおっしゃっていました。
大体、もし3年次でゼミを取ることが想定されていたとしても、研究論文のときに外国法を参照しようとする場合には同時並行となるわけで、ある意味間に合ってません。
つまり、学部時代から外国語文献を読む機会を意識的にもっておかないと、イザ研究論文をローの3年次に書こうというときに選択の幅が狭くなることになります。


また、論文・演習経験の少なさをAさんが指摘されてます。これも、学部のうちに積んでおかないと間に合いそうにありませんが、論文を書く機会というのはゼミによってもあるかないかまちまちです。某知的財産法ゼミ、某政治過程論ゼミなどは公表も予定されるような論文を書いたようですが、膨大な時間を食われているみたいです。
私のとったゼミは発表とレポートが課されただけで、たいしたことはありませんでした。
もっとも毎回の予習復習にはかなり時間を費やしました。ひとつの判例には2,3時間くらいかけないといけない*5ので、二コマ分の余裕がないとゼミはできません。


しかしながら。私はローができて自分にとっては良かったと思っています。
ぎりぎりまで迷うことができるようになったからです。


そもそも、私がなぜ実務と研究とで迷い始めたかというと、自分のしたいことがどちらならヨリよくできるかという問題と直結するからです。
(前に某掲示板でぶつくさ言ってるのをCさんに見つかってエントリでコメントされたこともありますが、)私としては不均衡な状態にあるアクター間における「公平」なルールが模索できればどこにいってもいい、と思っています。
具体的な例としては、消費者法が典型でしょうか。
それを弁護士として実現するのか、研究者としてやるのかは、まだ迷っています。
ただ、行政法においての弁護士の活躍は、私人と行政の両者にとって、また私人と行政と私人と・・・と多面関係においての公平なルールを模索する立場にはないと思っています。やはりクライアントの権利を守ることが大事なのですから、実現されていない部分を実現するための力にはなれても、制度運用の適切化などは考察・寄与できないのではないかと思うからです。
そう考えて、研究への魅力を感じました。
しかし、もしかしたら、私が思っている以上に弁護士の力は多面的なのかもしれないし、まだ学んですらいない知的財産法などでは様相が違う可能性があります。
そこで、学部のうちに決めねばならない従来型よりも、法科大学院の中でも1年は迷えるほうがよい、というわけです。


とはいえ、本当は1年も迷えないかもしれません。一応研究論文は3年次に書くことになっていますが、「それでは全然間に合わない」というのが書いているほうの実感のようですから。となると、前もって前もって、周到に準備をする必要があります。ローに受かってもいない時点でいう科白じゃないんですが、ローの入試が終わった直後から関係しそうな分野(片手に入りきらないんですが)の基礎的な論文は読んでおかねばなあと思っています。やるだけやって、それで実務にいくべきだと考えれば実務にいけるだけの体力(新司法試験に受かり、かつ何か生き残るための武器を持てるだけの力)はないといけないし、やはり研究だとなればそのための体力(外国語能力その他)もつけておかねばなりません。ついでにいうと、まだローの学費がたまっていないので、ローの在籍中もバイトをすることになるでしょう。もちろん、ローの授業そのものにもついていくのは大変なわけで、やっぱりイバラの道であることは間違いないようです。体力が持つか、お金が持つか、熱意が持つか。相当な持久戦になるんだろうなあ。

*1:そういってもらえること自体は嬉しいのですが。

*2:もっとも司法試験に現役合格するくらいの頭がないと実定法研究者は務まらないんじゃないか、という気もしないでもないし、実際受かってる人は結構います

*3:この先生とは以後今までに3時間ぶっ通しで議論する機会が3回ほどありました。

*4:どうして先生の弟子にしてくれないんですか、というツッコミを入れたけど、ひらりとかわされた気がする

*5:これは自分の実感&自らに課した課題