ドイツ連邦政府・データ倫理委員会意見書(2019年10月23日)が公開されました
ドイツの連邦政府レベルでのAI利用に関する倫理的・法的な専門委員会意見書です
2019年10月23日付で、ドイツ連邦政府・データ倫理委員会(Datenethikkommission)が、意見書を提出したとの報に接しました。意見書本体(240ページ、ドイツ語)と概要(32ページ、ドイツ語と英語あり)は、以下のページからダウンロードできます。
https://datenethikkommission.de/gutachten/ (ドイツ語版サイト、上記すべてDL可能)
同委員会の英語版サイトのトップからも、英語版要約がダウンロードできます。 https://datenethikkommission.de/en/
ざっとみてみると
さすがにこの分量だと全部を読むのはまだ無理なのですが、要約版をざっと読んだうえで、目次を翻訳しました.
要約版の目次
- 主導的考え方 Leitgedanken (Guiding motifs) 05
- 一般的な倫理的・法的原則と原理 Allgemeine ethische und rechtliche Grundsätze und Prinzipien (General ethical and legal principles) 06
- データ Daten (Data) 08
- アルゴリズムシステム Algorithmische Systeme (Algorithmic systems) 17
- 欧州の道のために Für einen europäischen Weg(A European path) 27
- データ倫理委員会の構成員一覧 Mitglieder der Datenethikkommission(Members of the Data Ethics Commission) 28
本編目次
- 要約 Executive Summary 12
- 導入 Einleitung 33
- 倫理的・法的原則と原理Ethische und rechtliche Grundsätze und Prinzipien 39
- 技術的基礎 Technische Grundlagen 49
- 複合的データエコノミーの多層レベルガバナンス(多層的制御)Mehr-Ebenen-Governance komplexer Datenökosysteme 67
- データ Daten 79
- アルゴリズムシステム Algorithmische Systeme 159
- 欧州の道のために Für einen europäischen Weg 225
- 付録 Anhang 229
話題になっている個所
先日、若手研究会に参加し、また、マインツ大学内でもデジタル化社会についての連続講演会があったのですが、そのどちらでも触れられていたのが、アルゴリズムの利用について、5段階のリスク分類に応じた制御をすべきである、と提案している点です(要約版20-21ページ(図は20ページ)、本編173-182ページ(図は177ページ)。この図解はKritikalitätspyramide(Criticality pyramid 脅威度ピラミッド)と名付けられています。(もっとも、Kritikalitätとは(核分裂の連鎖反応における)臨界を示す語なので、ちょっとこの用語法にはびっくりしました。)
英語版要約20ページから図を抜粋します。
今後の動向は?
先週公開されて以降、ツイッターの #Datenethikkommission でも様々に議論されていますし、今後ドイツでの議論はこの報告書をたたき台に行われると見込まれます。英語版要約が同時に出ているのは、欧州や世界規模での議論喚起も意図しているからだと思います。
この記事について
本来、研究室のブログで書くような内容ですが、ちょっとトラブルがありまして更新できないことと、速報性を重視してこちらのブログで紹介しました。なお、翻訳も急いでやりましたので、訂正・改善提案などありましたらお知らせください。