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カフェパウゼをあなたと

コーヒー片手に語らいを!わたしと、みんなと、そしてあなた自身の過去・未来と。

「文章をはき出すとき」と「推敲・編集するとき」を分けてみよう

同じことを4回聞かれたから書きますよ

もうすぐ10月・・・12月提出の修士論文や博士論文を抱えている人からすると、9月中にどこまで出来るかが一つのポイントになります。立て続けに3人くらいの方から、「どうしても進まない日が何日も続くんです、どうすればいいでしょう」というご相談を受けました。
とりあえず、最悪の事態を避けるために、「発声練習」さんの以下のエントリ及びそこの関連リンクを見ることを薦めました。
卒業研究・修士研究時の悪循環を防ごう - 発声練習
そして、どういう風に進めているのか、どういう段階なのかを聞いた上で、自分が博士論文を執筆するときに一番気をつけていたことを話したので、ここでも紹介してみたいと思います。

一番大事な気づき:「思いつく人」と「直す人」は違う人

長文になることがわかりきっている文章を書くときに、いつも見落としてしまうことがあります。それは、あまりに長い文章だと脳内メモリだけでは整序立った文章にすることは難しい、ということです。
ひらめいて、思いついて、話し始めるときのわくわくした人と、しっかりして、落ち着いて、直し始めるときの少し醒めている人を同時に動かすことは難しいのです。
これが、1000字、あるいはせいぜい5000字くらいの長さのブログ1エントリー分であれば、書いたり戻ったりしながらでもなんとか書けます。文章を紡ぎながら編集も一緒にやってしまうというスタイルですね。
しかし、5000字の原稿を10枚、20枚と組み合わせていかなければ書けないような長さになると、どうしても編集担当要員が必要になります。相互の文章の並び順とか、適切な脚註の配置などは、ひらめいているときのわくわく感を持ち続けているとミスしやすいんですよ。

意図的に作業を分けよう

そうであるならば、意図的に作業をわける事が必要になります。自分が博論を書いたときに、指導教員と相談しながらやったやり方は以下の通りです。

第一フェイズ:ひらめきを生かしながら、「もやもや」をとにかく紙に落とし込む

まずは、今考えていることをとにかく紙に書き出します。
あなたが論文を書いている途中の院生であれば、「この話題とこの資料は関連しているな」というような塊がいくつもあるはずです。あるいは、「大目次は出来ていて、この話題は第1章のどこかに入る」とか。
そういう状態でいいですから、とにかく書いてみましょう。
文章の並び順や脚註の細かいルールはあまり気にしないで、わかるように書いてみる。
前にちょっとやり方を紹介した「手書き→マインドマップテキストエディタ」というやり方もあります。
文章をモリモリ書くための4つのステップ - カフェパウゼをあなたと
これは編集のしやすさをも念頭に置いてますが、最初は、とにかく手書き(できるだけなめらかに書けるボールペンや万年筆をお勧め)で書き殴ったり、テキストエディタ(文字を打つ以外の機能があまりないようなもの)を使ってやってみましょう。
頭の中でもやもやしているだけでは、誰にも見せることができません。どんなに親切な指導教員でも、見ることができない文章を添削することはできないのですから。

第二フェイズ:意味付けを捉えなおし、並び替え、文章を整えて編集しよう

うわーっと第一フェイズを行うと、とにかく材料だけはそろいます。あとは、コレを料理していけばいいのです。
手書きであれば、ペンを色ペンに持ち変える。テキストエディタであれば、アウトラインが使えるソフトを起動します。そして、並び替えてみたり、重なるところをつないでみたり、脚註を整えたり・・・とにかく、手を入れていきます。
追加で新しく書きたくなったら?脇にメモ帳を置いておいて、アイデアベースでいいから書き付けておきましょう。編集脳になっているときのアイデアは、非常にメタな視点になっていることが多く、その文章の序文や結末に大きく影響することが多いです。

どこで人に見せるのか?

第一フェイズと第二フェイズを続けていくと、どうにかこうにか文章ができていきます。しかし、第二フェイズにまで達したものだけを見せようとすると、どこかでモチベーションが下がったりします。そこで、かなり切羽詰まっているときは、「とにかく第一フェイズでいいから持ってきて」と言ってくれる人を探して、極めて短期間に無理矢理にでも成果報告をする、というのをおすすめしています。
なぜって?・・・人に話すとものすごく進むことがあるからです。
書こうとして巧くいかないときは、改めて別角度での表現をしてみるとすっと見えてくることがあります。誰かに話そうとする、というのは、その点で非常に優れた「前への進み方」です。

研究ハックフォーラム・若手法学研究者フォーラムはそういう場を提供してます

このブログ記事の↓のほうにリンクが張ってありますとおり、私はふたつのフェイスブックグループを運営しています。そこで同好の士を探して、お互いの文章を見せ合うというのも一つの手です。ちょうど、科研費等の「作文」シーズンでもありますし、相互扶助をするにはピッタリの時期かも知れません。

このやり方につきあってくださった師匠にはとても感謝しています。師匠が、「とにかく1週間に5000字書いて持ってきなさい」と言ってくれなかったら、到底書き切れませんでした。「とにかく書いて書いて見せる」というやり方が功を奏することもあります。うじうじ考えて前に進めない日ももちろんあります。ノってきた日にモリモリ書いて反撃しましょう。
やっと涼しくなってきました。夏に悶々とした分を、少しづつ取り返していきましょう。
きっと書けますから。疲れたときには遠慮無くカフェパウゼを。