あなたなりの書きとめ方を見つける試行錯誤
「ところで、あなたは情報カードを知っているかな」
そういってこれから師匠となる先生が差し出したのは、一枚の厚紙だった。たしかに、本で読んだことがある。しかし、目の前でみるのははじめてだ。
「私はこれがないと仕事にならないんだよ、ほら、今さっき読んでいた論文についてのメモだよ」
よくみると、机の上には小さな木箱があって、そこに投げ込めるようになっている。
「まずはじめにやるべきことはね、あなたなりの書きとめ方を見つける試行錯誤なんだ」
引き出しを開けて師匠がみせてくれたのは、箱に入った沢山の情報カードだった。
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かつて、Kaffeepauseというハンドルネームでブログを書いていました。その一部はこのブログにも転載してあります。リンクはこちらの記事にあります。
ツイッターでの「#ローから研究者へ」祭り編集後記 - カフェパウゼをあなたと
ブログを閉鎖するとき、こんな言葉で締めくくらせていただきました。
この2年間の過程が、成功に終わるのか、失敗に終わるのか、それはもうここには書けませんが、またいつか、どこかでお会いしましょう。
ここから4年半たった今でも、成功なのか失敗なのかなんて結論は出ていません。けれども、続きを語るには十分に時が満ちてきたように思います。そこで、イバラの道の続きを書き記していこうと思います。タグは「道の続き」です。
冒頭のシーンは、はじめて現指導教員と面談したときのエピソード。具体的なセリフは創作が入っていますが、私がノートやカードとの付き合い方を決定的に見直すきっかけになった出来事であることは間違いありません。「知的生産の技術」を、単なる知識ではなくて、自ら身につけるものであると認識した日。研究者としての最初の一歩です。
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この面談の直後から2ヶ月間は、およそ研究らしい事は一つもできませんでした。司法試験を受けるための勉強をしていたからです。「あなたなりの書きとめ方を見つける試行錯誤」に取り掛かれるようになったのは結局はすべてが終わった後でしたが、最初の指導が情報カードであったことだけは鮮明に覚えています。
次回は、試行錯誤の中身に入っていきましょう。
それでは、よいカフェパウゼを。