「どうせやるなら二毛作」時間とレイヤーの複数掛けを目指すために
座右の銘:「どうせやるなら二毛作」
最終的に研究か教育に回収できるならば自己満足だけにならないので、どうにかそういうサイクルというかシステムを構築しておきたいところです。私の座右の銘は、「どうせやるなら二毛作」です。
— ぱうぜ (@kfpause) 2013, 9月 29
日曜日の朝というのは自由な発想をしていることが多くて、自分でも思いも寄らないことをツイートしたりします。
「どうせやるなら二毛作」。
これ、自分の人生哲学になっているような気がするので、今ここで考えていることを形に残しておくことにしましょう。
リソースが大量かつ濃密な人たち
世の中には、とんでもない人達がいます。人に一つの基準だけで勝ち負けのランクをつけるなんておこがましいし、ばかげているのはかつて書いた記事(スカウターからスタンドの世界へ - カフェパウゼをあなたと)でも触れたとおり。多様な価値観と可能性の世界で、ランク付けなんて意味をなさない。
しかし、どうにも感じてしまうことがあります・・・それは、リソース量のちがいです。
世の中には、普通の人が持ち得ないような熱量を秘めている人がいます。「法学研究者らしく定義付けしろよ」といわれると困ってしまうのですが、ほんともう、なんか「できることの量」が違うんですよ。そして、量の多さが質の違いを凌駕している。
・・・そういう人達を、まあ、Sランクとでもしましょう。マンガやライトノベルの世界でよくある「S級ハンター」とかそういうイメージの、Sランク。
その中には、有り余るリソースを一点投入するとかえって軋轢があるから、とでもいうのでしょうか、全然別職種の仕事を同時にこなしてみたり、完全匿名の筆名を何個も抱えて活躍している人もいます。
自分に何が出来るだろう
ここ数年でようやく「研究者」を名乗れるようになったことと関係しているのでしょうか、実に様々な方々とお仕事をする機会にめぐまれました。また、友人関係やSNS関連でも様々な方々とコラボレーションする機会にめぐりあいました。そうしたときにやはり感じてしまうのです、「ああ、自分はSランクの人々には普通のやり方ではかなわない」、と。
勝ち負けにこだわらない私ですが、貢献度として自分がどこまでやっているのか、果たせる役割を負えていないのではないかということは気にしています。
特に、(これも運の要因が強いですが)本来は貸与である奨学金を事後的に給付にしていただく返済免除という仕組みを適用してもらったので、単に国立大学で学んだという以上に、直接的に税金が投入されているのです、私の人生には。
なにかしなければいけない、しかしそのままではSランクの人々が行う貢献度にはかなわない。
多毛作のすすめ
時間管理のステップとして
そんな折、素敵な発想に出会いました。
人生の舵は自分で切れ!あなたの10年後は今週の33.6時間で決まる (impress QuickBooks)
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この電子書籍の第八楽節 STEP4:自分時間を夢に昇華する3つのアクション
(電子書籍でのサイテーションを示すやり方は難しいのですが、ここでは目次で場所を示します)で、著者のJMatsuzaki氏(友人ですので、以下、親しみも込めて、愛称のJMと書きますね)は、自分の時間を増やしていくための方策について、
具体的にどのような改善策を打ち出すべきかですが、大きく以下の3つに分類できます。
1.分類を入れ替える
2.実行順序を入れ替える
3.複数の分野を同時実行する
と述べた上で、最後の3についてこのように述べています。
3つ目の「複数の分野を同時実行する」は最も難しい取り組みですが、実現できれば最も高い効果を発揮できるものです。ここでいう分野とは、「家族」や「健康」や「社員」など、1st Burnerにて夢を分類した分野のことです。勘違いしやすいのですが、1つの行動が1つの分野に貢献するとは限りません。1つの行いで複数の分野を前進させることができます。
そして、一人でするランニングを、家族でのバドミントンに切り替えることで、「健康」だけの時間を「健康」・「家族」という複数分野に貢献する時間へと変えることを例としてあげています。
レイヤーの重ね合わせ
また、佐々木俊尚氏の「レイヤー化する世界」における、レイヤーの重ね合わせも、私に強いインスピレーションを与えます。
レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)
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これについては倉下忠憲さんが既に図解で解説している記事がありますから、コレに加えて語りたいことは別記事にゆずります。
R-style » 「レイヤー化する個人」がもたらすもの
自分が持つ役割は複数あり、同時に満たす"差し手"がある
これらから導き出された知見を、私なりにまとめると、
「自分が持つ役割は複数あり、複数同時に満たす"差し手"がある」
ということになります。
イメージしているのは、ルーレットでいう「複数賭け」です。一枚のチップで、特定の数字だけではなく、複数の数字に賭ける方法です。ルーレットの世界ではそういう賭け方は配当が少なく設定されています。リターンが返ってくる可能性が高いから、ですね。
しかし、「時間の複数掛け」においては、JMが言うように、複数の分野を同時に満たすことは難しい。さらにいえば、佐々木俊尚氏の著作とそれに対する倉下忠憲氏の書評が示すように、複数のレイヤーを見つけることすら難しいかも知れません。
しかし、一度見つけてしまえば、一つのチップで2つ、3つのリターンが返ってくる・・・そんな気がしています。
時間は使い続けることしか出来ないし、限られた量しか配分されない。
そうだからこそ、戻ってくる可能性がある道筋を複数用意したい。
「畑を重ねる」ために
重ねる事が難しいなら、自分で「重なる畑」を作ってしまえばいいのではないか。今はそう捉え直しています。自分の本職である研究と教育。そして、自分が余暇としてやりたいと思っているブログやSNS。こういう複数の部分を、どうにか重ね合わせながら生きていくことができないか。それを模索しているところです。
そして、「重なる畑がないなら作ってしまおう」ということを、考えています。
連作障害をどう回避するのか
多毛作の例えは、もうひとつ、発想を広げるステップになります。それは、「連作障害」の存在です。多毛作で作物を作るときのポイントは、作物Aで使ってしまった地力を、作物BやCの栽培時に回復させること、でした。これは、むりやり「畑」を重ねたときに出てくるであろう様々な障害の可能性を想起させます。単純にひとつひとつやっていくことと、どう違うのか。ちゃんと回収出来る投資になっているのか。ブログやSNSをやるときは、それを考えながらやっているところです。
どうせやるなら二毛作。こうやって書いてみるとまだまだ煮詰まった考え方ではありませんが、引き続き「座右の銘」に仮置きして頑張っていこうかと思います。
朝晩が冷えるようになって、温かいお茶が嬉しい季節になりました。ゆっくりとカフェパウゼを。